風船 2/寒雪
太陽とともに昇る地球の顔色を
全身に浴びながら
今日も
ぼくの見えるところ
いっぱいに埋め尽くされた
ぎゅうぎゅう詰めの風船が
時を置かずして
割れ続けているのを
目の端に留め置いている
それは
色取り取りで
いろんな形があって
なんか僕に似た物まであって
物心ついた時から
当たり前に
見つめていたものだけど
なんだか子供の頃に比べると
割れていく風船の数が
多くなってる気がするのは
気のせいであると
思っている
あくる日の朝も
ぼくは割れる風船を
見ていた
すると
なんという事だろう
ぼくの体が
見ていた
風船みたく
弾け飛んで
シャボン玉みたく
壊れて消えた
体がなくなってしまった
ぼくは
心だけのまま
誰からも見えなくなった
とりあえず
風が吹いて
屋根まで飛ばないよう
太陽に
願ってみた
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