食べかけの月/カマキリ
空にポツリと佇んでいる
逆さまの煙突は今日も煙は落ち着かない
ドーナツをおでこにあてて
選ばれるのを待っているのだけど
聞こえてくるのは誰かのくしゃみばかり
僕は長い長い道を見ながら浮かんでいる
枯れかけた草や木が
あるはずのない表情を作り出す
悲しいってのがどんなのか忘れてしまったけれど
魚が一回だけ跳ねた湖面に
心が急速に凍りついていくのだけ
それだけは分かっていた
まだ、君の食べかけた月が
夕闇に張り付いている
きっとまた選ばれないから
鋭い風に頬が切れてしまったよ
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