空についての三編/獏
1.薄暮
食卓には
真っ白なお皿と、銀のフォーク
窓から扉へ吹き抜ける風と
その匂い
飴色の空
地平線
瞬きながら暮れる、滲んだ宝石
泳ぐ魚の群れを追いかけて
追いかけて
2.子夜
紫の帯と
スパンコールのドレス
窓越しに這わせる指
くもる窓
つま先がステップを踏んで
カーテンをひるがえす
お捻りはこちら
手の鳴る方へ
3.明仄
耳たぶを啄ばむ歌声と
遠く
伸びていくグラデーション
木々のうわさ話と
湿った土の匂い
輝く波間を漂う夢を見た
わたしだったものを
置き去りにして
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