「辞世にはまだ遠く」 壱 〜2017.01.31/もっぷ
 
緩慢に手を汚さずに隣人は企てているその背後には


母親は産んで五年の少年に姉を殺せと包丁渡す


しゅっちょうかたんしんふにんかせったいか父さんあたしいま痛くされてる!


財布には二十三円南風(みなみ)吹く



肋骨を折った折らない考えるお医者に遠いお財布抱いて


来年はもう会うことない一年草わたしもあなたに生まれたかった


なみだなら空からの雨の仲間かな お天気雨のようななみだも


お財布に菫を植える夜がある



ゆきやなぎ父のお墓の場所知らず春の彼岸に風を訪ねて


富良野へはきっとゆけずに死ぬだろう君とも生きては会えないだろう


おしまいがいつか来るなら春がいい桜みながら息を やめたい


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