夜、最終列車のつなぎ目/ふく
 
ブーツの先が、階段先に落ちています

女の人が勢いよく、列車のつなぎのドアを開けました
おじいさんはその勢いの反動で、少しのけぞります

深い汽笛が鳴り、こうこうと明るいホームは寒空を待っています
人影の少ない階段から、夜に帰るために

レールが鈍く光るのは、夜のせいです

静かにごとごと 体が左に振られます

隣のレールに、一人しか乗っていない列車が走っていきました
やがて遠く、遠くに

あの列車は私の知らない景色を見ているのでしょうね
人が歩き、犬が走る様を
木々がかげり、花が泣く様を

夜に映る私の影の中に、外がいます
外の小さな動きは、列車の中の私には届きませんでした 光しか
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