白い沈黙/のために/末下りょう
足跡は雪にさらわれ 残されたのは 爪さき立つ
声
奪われたのはまなざしのゆくえ
なにも照らせない光が
ひしめいている
(今日わたしができることは思い出すことをやめること)
雪道を歩いていたのは少女
スクリーンをみつめて背をむける鏡像の似像
聞かれることを待つものすべてに
白は白に深まり
雪そのものにさらわれていく雪景色
手のなかで扱うべきシャベルは
雪をしらない冷たさにとかされて
消えかけたものの白熱をあらわにする
雪原にはなにかが出入りできるような窓はもうない
(そして眠ってはいけない
雪のふりをした蛇に消化されてしまうから
それはか
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