ひとつ 帰途/木立 悟
 





旗についた氷が溶け
滴となって径に撒かれ
たくさんの音を描いている


砲声の半分は空を埋め
もう半分は地を満たす
笛は 曇の影をゆく


手櫛の雪
子の頬に落ち
少しずつ 緩やかな息


凍りついた湖を
花と影が囲んでいる
映らぬ月がすぎてゆく


橋 火 橋
水の向こうの森
山に落ちる曇


光の街の隣には
暗い海がひろがっていて
人工の浜辺に打ち寄せている


影に潜む水を追い
見つけられず迷う子に
雪と羽は指し示す































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