インフルエンザドリーム/yozo
い
などと
指の間を去っていく砂粒の感触を
忘れ去る日を思い描いてしまう
そこに
キミが無表情でたたずんでいるのは
地球の最後みたいにリアリティーがない
声さえかけられず見つめるしかない日が
いつかボクにもやってくる
何よりも非現実的な確定した未来だ
昨日の夜キスをしたキミの唇の奥に
小さな口内炎の蕾があった
舌にあたると
キミがしがみついてくるのがめずらしくて
分らないフリを装って何回か撫でた
あれが白く花のように開く頃には
きっと
ほら。って
なんでだか得意げに見せてくれるはずだ
39.3℃の夜
冷えピタとマスクとロキソニンに埋もれて
流感の見せたこんな幻影に出たボクの涙を
汗と一緒にタオルで拭うのは
まだキミだ
ごめんね感染っちゃったねきっと、というと
熱くカサつく頬をつねられた
スイッチが切れるように
安心して、また眠った
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