インフルエンザドリーム/yozo
 
スクランブル交差点
青の瞬間
大勢とキミが一歩を踏み出す
人混みに意識が馴染む手前に
後ろから声をかけられた気がして
反射神経で振り返る
誰か
立ち止まったキミのカバンにぶつかったようで
にらみながら追い越してはいくけれど
彼等に知ったような顔はない
聞こえたはずの名前だけが
なにか
新しい言語のように耳に残る

冬の海
乱反射する光
眩しさに耐えきれず目を閉じるのだが
波音とニオイだけは
冷えきったキミの体を否応なく突っつきまわす
逃げようとして砂浜を彷徨っても
歩く度
足は砂浜に捕われていくだけだ
そして
もうずいぶん裸足で波打ち際に立っていない
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