闇夜/アンテ
ち
花は星になって闇を彩った
毎日星の並びが変わるので
人々は不思議がり
とびきり高い梯子で星を捕獲しようとしたところ
転倒して暗闇を引き裂いてしまった
すき間から差し込んだ光は
街はずれの家まで達し
軒先の容器にたっぷりと溜まった
人々がなんとか暗闇を修繕しおえた頃には
星々はひとつ残らず穴の外へ逃げ去って
夜はまたもとの暗闇にもどってしまった
老いた女だけが騒ぎと無関係に
容器の光を何日も何日もかき混ぜつづけ
やがて金色を放ちはじめると
手で掬い取って空へ放ち
光の塊は月になって夜の街を照らした
人々はそれでもまだ懲りずに
月を捕まえようと
あれこれと今日も策を練っている
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