Fw:/末下りょう
 
その思い出に─

乱暴に溢れていた
素晴らしい世界に
果てからのざわめきに、ささめく木々に

女たちは
体質をかえた乳房の
エンクレーブに
奥まりからの流れを導き入れて
そこに生まれてくるものをくるままに
くつろがせながら
絶えざる沐浴という名もなき全体に
なめらかな身を委ねることを好み
水辺には
素足に素顔をよせ、よごれを素手でおとす女たちがいた
だれもが喜びを贈られた娘たちのひとり
ミルクセーキの匂いをさせた子どもの
濡れたお腹についた葉は
これからの自由の目印のように
笑っていた
もうなにを笑っているのかも
わからなくなった笑いのように
はにかん
[次のページ]
戻る   Point(2)