1分以内/末下りょう
アブストラクトな獣の形が光にけしさられる
光は獣にのみこまれながら形をなす
形は光のなかで獣を狩る
それらは
単なる資料にすぎない
緑だった─
そうゆうことってあると思う
ぼくもプラットフォームに立つと
そこが白線の内側なのか外側なのかわからなくなるから
うん、あのとき
あの子は森を走るようにできてた
とてつもない緑
たまたまそこからはそうみえたのかもしれない
あの子が持った印象とあの子が与えた印象とを取り違えているのかもしれないけれど
だってあまりにも森だったから
黒だったんじゃないかって 、
森の緑は
どんな生き物─
ぼくに息を吹きかけて冷ますこともできればぼくに息を吹きかけて暖めることもできるすごい生き物に会ったんだ
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