プリズム/うみこ
ふと気づいたら
春が消えていることはないか
胸の中から
抜け落ちていることはないか
そして同時に
舞う人はいないか
真っ暗な舞台で
舞う人はいないか
桜色の花吹雪の中で
踊り狂う奴はいないか
ガラスの顔面を持つプリズムは
わずかな光を虹色に変える力を持っている
今ほんの少しカーテンの隙間から漏れる光を使って
踊りながら新しい反射光を生み出しているところだ
本来誰の助けもいらないのだが、こうも暗くては、先程カーテンを撫でて僅かな隙間を作ってくれた面、影、の少女に感謝するしかない
あの子は誰だったのか
面影のせいでわからない
私の顔面はプリズムなのだが、あの面影は
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