悲しいのなら己の燃える拳を握れ/
差羽ナガレ
寂れたバ−の長椅子で
瓶ビ−ルにくちづけを
両腕の入れ墨を切り裂く
刃物傷だらけの喧嘩屋に
絡まれた遠い夏の夜
弱い者は踏み付けられて
もがきながらも逃げ場を探す
口先だけを幾ら研ごうが
何も変わりやしないのさ
飲みながら話すその横顔に
陰湿な影を見い出せなかった
分厚い掌を差し出して
握手を交わしたあの日すら
虚ろな過去へ薄れてしまうよ
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