微熱砂/小林螢太
た、この矮小な花壇の中で
与えられた胞子を
気まぐれな雨しか降らなくとも
すべてに花を
咲かせたいだけだ、けだ、だ、、
(モノクロに斜陽した花園の中で立ち止まる
(闇のようで真っ黒な薔薇が傷を広げ、痛む
澄み切った奇跡の泉に浸かっていたい
傾いたものたちへ
寂れた公園の砂場で
その砂の、一粒一粒が
風に舞い、或いは乗って
空を目指すことを
あなたは馬鹿なことだと言うのですか?
夜が明けると、やがて砂は
雨に流され、濁流となって
河口へと流れていく
しかし
もうすでに
河は、無くなっている
戻る 編 削 Point(16)