微熱砂/小林螢太
 
た、この矮小な花壇の中で
与えられた胞子を
気まぐれな雨しか降らなくとも
すべてに花を
咲かせたいだけだ、けだ、だ、、

(モノクロに斜陽した花園の中で立ち止まる
(闇のようで真っ黒な薔薇が傷を広げ、痛む

澄み切った奇跡の泉に浸かっていたい



傾いたものたちへ

寂れた公園の砂場で
その砂の、一粒一粒が
風に舞い、或いは乗って
空を目指すことを
あなたは馬鹿なことだと言うのですか?

夜が明けると、やがて砂は
雨に流され、濁流となって
河口へと流れていく

しかし
もうすでに
河は、無くなっている




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