微熱砂/小林螢太
空にはもう
手が届かない
真夜中、
潤いが消失した部屋で
繰り返し観たものは
果てしない砂漠での蜃気楼、の夢
瞳を覆う
色が無い眼鏡の、曇りをふき取っていく
余分なものが見えないように
(分かっていたんだ
黒点が浮いたバナナの
甘く発酵した退廃のように
単に、陳腐化する
だけ、だけ、だ、け、、、
*
砂
砂が、ちゅうに舞っている
錆びた身体の循環を再構築し
頭の中のノイズをフィルターにかける
誤解された比喩に恩赦を求めて、
(華やかな歓声/反転/暗転
わ、わたしは
全てが限られた、
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