病院/
藤原絵理子
悲しいほどの平和
それでも 涙は流される
カラスの鳴き声は 相対的に風に流れて
歌になったり 罵声になったり
鉄の扉を閉ざして
こころを磨いている
金属の鏡のように 水晶の玉のように
非常口のランプだけが緑色に 滑らかな廊下に
嫌なことを忘れ去った人は
幸せに ただ生きている
その場限りの笑顔で充分やっていける
化石が好きだと言った
白骨でさえ 生々しすぎると
葬儀屋の彼の笑顔は 差し障りなく
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