冬のハリネズミは 、/末下りょう
 


洗濯物の張り番をしながら
びしょびしょの灰色がかったそこで雪の降る夢をみた
バラと塩の匂いをさせて
それは夜風に舞った
どれもが冷たく優雅に
その場かぎりに花ひらく冬をかじった
クッカクッカと

夜明けまえ 清らかなものたちの白い息にまぎれ
手探りで ネズミはきみを追った
車輪や長靴の跡がつく 雪の足音
口にふくみ
植物に気づかれた哺乳類の寂しさのまま

コスモポリタンの雨傘は LEDのファンタスティックな街角で
肩を濡らしあって
赦しあう
ネズミの影を横切る華やかな往来
その爪のはじまりに
そっと夜明けの夜更けが紫に
青ざめて
かなしかったこと
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