左様なら/智鶴
貴方の夢に触れてしまえば
貴方の全てが見えてしまって
それを知って優しさに気付くのも
多分耐えられないのでしょうが
それでも触れずにはいられないので
どうかその頬を撫ぜている間だけ
眼を覚まさずに居てくれますか
仰る通りで、これは嘘ですから
稲光のような一瞬の
あまりに力強く儚くて
瞬きの間もなく通り過ぎるのは
所々に散らばる僅かな愛しさを掻き集めたから
それを私に一番美しくしてくれるから
私の小さな掌にも収まる程の暖かさが
限りない精一杯で輝く様を
如何して愛せずに居られたでしょう
有難う、私は呟く代わりに
すうっとそれを飲み下して微笑んだ
肩の長さで
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