臼の陽の目/朧月
 
外に臼がほしてありました
もうすぐもちつきだからです
家族はそれぞれに白い息をはいて
うったり
うたれたり

白くて柔らかいもちを
家族の手でまるめて
少しいびつなそれは
部屋に飾られるのです

だれの手で編んだもちか
なにを包んであるもちか
お正月には
それぞの碗の中におさまるのでしょう

臼はただ
毎年の光景を思い出しながら陽をあびているのです
戻る   Point(5)