12月、意味のない橋と思慮深いカラス/ホロウ・シカエルボク
少し前に
壊れた橋の上に立って
きみは笑顔を浮かべている
ひびわれたセメントは
ゆうべの雨のせいで
稼働停止した工場の
機械のようなにおいがする
その橋を苦労して渡っても
きみはどこにもたどり着けない
そこになにがあったのか
判別もつかない
ワンルームマンションの部屋程度の
苔むした空地があるだけだ
目にしたところで
どんな納得も得ることは出来ない
橋の下には
ひどく水の少ない川が流れている
退屈しのぎの時の小便のように
渋々といった調子で音もなく流れている
一晩中雨が降り続いても
この川を満たすには全然足りないのだ
もしきみが足を滑らせて落下
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