冬とむらさき ?/木立 悟
 





何か小さな祝いの言葉が
ずっと背中に降りつづいている
鉛の泡
砕ける冷たさ


夜が夜を着ては脱ぎ
雪を渡る光を見ている
そそぎ そそがれ
そよぐうつろ


毛糸の花が地と空にあり
互いを見つめ 揺れている
雪を昇る手
曇の色の手


雨が遠い山を灼き
坂へゆく径を照らしている
虹を持たない空の淵に
陽の柱は立ち並ぶ


凍りかけた光から
水の名を呼ぶ声がする
夜へ夜へ向かう河
生まれたばかりの星の波たち


蒼がつもり むらさきになり
灯をひとつ隠し 眠りゆく
またひとつ またひとつ
そよぎゆく

























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