耳を澄ます (試作品2)/もっぷ
 
しあわせ って意味も知らずにそれでも
その響きに惹かれて 微かに瞬く
ひかりを 疑えなかったのだと思う
決意をして 決意通りに堪えて生きてきた
泣いて泣いて泣いて泣いて いまもまた
わたしはいったい誰なのだろう
ときどき失う
いつもではない
普段は かなしい それ だと捉えている
間違えましたとけれどもう帰ることは易くはなく
待つか自決かいずれにせよ さぞかし孤独で絶望的な

たぶん 信じていた そのかたちは
あたたかなこんがりトースト
こがね色の美味そうなのがとろりと いよいよ
口に運ぶばかりのしあわせ
かならず
かならず母さんのいる食卓であたり前にかじりつく
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