耳を澄ます (試作品)/もっぷ
 
しあわせ って意味も知らずにそれでも
しあわせになりたくって産道を出てきたのだと思う
決意をして 決意通りに堪えて生きてきた
泣いて泣いて泣いて泣いて いまもまた
わたしはいったい誰なのだろう
ときどき失う
いつもではない
普段はかなしい それ だと捉えている
間違えましたとけれどもう帰ることは易くはなく
待つか自決かいずれにせよ さぞかし苦しく孤独な

たぶん 思っていたのは
あたたかなこんがりトースト
こがね色の美味そうなのがとろりと いよいよ
口に運ぶばかりのしあわせ
かならず
かならず母さんのいる食卓であたり前にかじりつく けれど
からだのどこかは感じてい
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