蝶の舞上がる/
坂本瞳子
羽を広げた蝶は
破られるのを
待っている
決して触れることさえ
できないだろうと
綺羅びやかに見せつけて
できるものなら派手にやってみせろと
寸出のところまで思わせぶりに
そして粉を振り撒いて
飛び去っていく
その目から視覚を奪って
飛び去っていく
叶わぬときには
朽ちる覚悟ができている
傲慢な女王様は
どんなこともやってのける
身を裂かれようと
悲鳴の一つを上げもせずに
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