暗輝 はざま/木立 悟
何もせず
ただ見ているだけの空に向かい
皆 手にしたものを次々に投げつけ
空はさらにかがやいてゆく
水へ水へ溶けた景色が
浮かび沈み 夜になり
駆け降りてくる空に照らされ
蒼と白に分かれゆく
踊るように黒く
水底で腕ひらく陽
荒れ野をふちどる風
どこまでも漠然とした緑の波
雪の衣
器のなかの岩の蝶
クレーター 氷の祭壇
土の下を流れる視線
鉄柵の前の小さな踏み台
霧と林のはざまの橋が
終わりの標のように立ち
雷雲の上を睨んでいる
暮れのままの川
熱の紙を浸す色
稜線をつなぐ光から
幽かなうたが吹いている
駆け昇る轟き
地に残る銀
影は双つ 踏み台に乗り
到かぬ夜に手をのばす
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