冬と射手/木立 悟
緑の下を濃緑が
水のように流れゆく
化石の木々から
止まぬ震動
硝子に分かれる
もうひとつの径
岩穴の向こうの
凍てつく群れ
布 麻
消えかけた火花
明るい色の果実の皮
午後のための髪留めたち
滴鉱 まばたき
月は水に戻れずに泣き
雨 光 坂 岸
ひとつの銀の手のひらに漂う
くちびるの血の原
時おりすぎる羽の音
むらさき むらさき
涙のなかの不可逆の陽
凍土の光が波打ちながら
月をどこかへ連れてゆく
灯る窓の少なさを踏み
震えは銀を放ちつづける
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