涙雨/進羅
涙で虹が架かると言ったのは
いったい誰だったか
涙程度の水分で
虹なんて架からないだろうに
「今日も清々しい青空だねー。」
白いベッドに腰かけ呟く少女
言葉はちっとも清々しそうではない。
点滴の跡をさすっては
また空を仰ぐ瞳
「そんなに虹がみたい?」
雨を待つ君が唯一望むもの
「虹を渡ったら天国にいけるって
・・・誰かが言ってた。」
誰だよ
「虹なんてむかーしの記憶しかないもの
自分が渡る橋なんだからしっかり目に焼き付けたいじゃない?」
もう無理そうだけど、と
淡く消えゆく言葉
「虹が架からない間は まだ元気で
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