わたしたちの豚/アンテ
ピンク色の
豚を飼っていた
あのころ
わたしたちはいつも
豚のことで
毎日のように罵りあった
朝も昼も晩も夜中も
ブゥブゥ鳴いた
楽しいときも
深刻に話しあうときも
寝ているときも
ブゥブゥ鳴いた
あなたとわたしは押しつけあって
どちらかが仕方なく
イヤイヤ餌をお皿に盛った
豚はブゥブゥ餌を食べた
床じゅうに糞が散らばって
家じゅうに臭いがしみついて
いるはずなのに
いつのまにか
なにも感じなくなって
わたしは豚をいじめた
あなたは豚を傷つけた
毎日まいにち
あなたについてきたんでしょう
おまえが連れてきたんだろう
毎日まいにち
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(5)