冬に溶けた紙飛行機/葉月 祐
 



初冬の空に向かい

紙飛行機を飛ばした

天を目指し

太陽に届きそうな

まさにその瞬間のこと

紙の機体は宙に溶けて消えた

直後 空気はぴりぴりと

痛い程に張り詰めはじめて

白よりも白い雪を

大地へと導いた

紙飛行機は帰らない

上着や髪に

冬の匂いを上書きし

街に雪を呼んだ後

そのままどこかへと行ってしまった



いびつな紙飛行機を折った

わたしの両手には

僅かな温もりだけが残されて



白い機体が導いた

白より明るい冬のかけらが

深々と シンシンと















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