マリンスノーの少女/小林螢太
十代前半の頃だったと思う
一遍の詩を読んだ
それは月刊の学生専門雑誌に投稿された入選作品だった
それまで、詩など教科書でしか読んだことはなかったのだけれども
題名に惹かれたのか
それとも投稿者が女子だったからなのか
多感な時期の男子だった私は、
同年代の女子の書いた詩にセクシュアルな気持ちも伴って読んだと思う
その詩は恋愛もののようなポエムではなく、
現代詩風の本格的なものだった
題名も文章もほとんど忘れてしまったが、
詩をこんな風に書けるのかと感銘を受けた記憶だけが残っている
唯一、覚えていることは、文章の中に
「深海のマリンスノー」
という言葉があったこと
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