ひとつ 露光/木立 悟
 




湯のなかで痛む指
数えても終わらない曇の流れ
冷たさを呑むこと
手のひらの空をかき混ぜること


双つの明るい星
火と火の生きもの
森の目 岩の目がひらき
ふたたび静かに閉じてゆく


紅い一日が終わる前に
金属の痛みの朝が来る
白い四隅を
円くひらく手


濁るほど夜を塗り重ね
消えても消えない雪は飛ぶ
避雷針を高く掲げ
野を分けるひとつの径をゆく


目覚めないものたちが横たわり
常に静かにざわめく街
嘘に痛む背中には
羽ばかり羽ばかり生えてゆく


はざまをを視すぎて 光になる脚
左目が映らない水たまり
空のかたちを作る色から
虹と歌を取り換えてゆく


























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