傘/草野春心
 


  ずっと雨がふっている
  私たちは 灰色になって
  果物のようにすわっている


  かたい音をたてて郵便が届く
  この場所に生活があるから
  バイクがぬるい水を撥ねて
  次の家へ向かっていく


  時々 あなたへの慕しみが
  私の胸につめたい雨をふらせる
  けれども 私は傘をささず
  空のひかりをみつめている


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