neighbors/ホロウ・シカエルボク
 
いるのかと耳を澄ましている、そしてそれをまともなことだと思っている、携帯電話の着信音に文句をつける、当然電話の内容にも耳を澄ましている、おれの家より倍は広い家に住んでおきながら、つねにこちらの壁の近くにいる、夜には布団を敷く音に文句を言い、寝返りでシーツが擦れる音に文句を言い、寝息に文句を言い、小さな音で流している音楽に文句を言い、そんなことを朝までやっている、いったい、いつ寝ているんだろう?部屋の引き戸の音に文句をつける、猫が階段を下りる音に文句をつける、そしてセックスに聞き耳を立てている、そしてそれをまともだと思っている、シャツを一枚脱いでスクワットをしているとオナニーをしていると勘違いをして
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