あたしの唄/もっぷ
 
弥生生まれの小鳥の日日は
父母(ちちはは)恋しい空でした

弥生生まれの菫の日日は
暴雨を忍ぶ詩(うた)でした

弥生生まれのヒトの子の日日は
シチューが好きな私(わたくし)でした

弥生生まれの風である日は
旅のおわりを願っていました

再びあおい菫の日には
お屋敷の庭に咲きまして

奥さまにご挨拶します
、目を逸らされてそれっきり

わたしはそれではさびしいと
かなしく思ってうなだれるのです

ふいに空から懐かしい羽音(はおと)
みあげてみればかつての小鳥

わたしは言葉を使い尽くして
聴こえるように嘆いてみました

?あたしの唄?が舞い降りて来て
(そのとき季節外れの雪が)

「翼に抱かれてあたたかい」
「守れるものがわたしにも」

、さて 弥生生まれが帰る日です
あたしは笑顔で手を振りました


戻る   Point(4)