炭化の街/ホロウ・シカエルボク
 
臓器がこむら返る、死後硬直の午後に
角膜の隙間に潜り込んだ不協和音を
爪楊枝でこそぎ出したら視界が赤く染まった
軟膏を塗りこんだらお陀仏だ
世界は白濁して
オープンリールフィルムのようなノイズに包まれている


強姦目的の男の一物を小刀でむしり取った乱暴な少女
男はその後橋から飛び降りて死んだそうだ
「被害者」の少女は加害者の親族に恨まれたが
自分の正義は頑として曲げなかった
「なんなら私を殺しに来ればいい」
小刀をちらつかせてにやりと笑ったとさ


一匹の子犬が繁華街の外れの
とうに潰れたレストランのポリバケツを漁りたがっている
近所のやつが勝手に捨てたゴミが
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