ちりばめて/唐草フウ
 

生まれ出る暗闇を
スリッパで歩く
冬の
イルミネーションはもう、海に沈んでしまっていた

ほしの形をあしらった
知恵の輪を
あつめては ほどく 少年の眼
それを見つめているたくさんの女たち

眠る暇がないほど
押し迫っているのは
舟の時間か
それともともに千切れ倒れるまでのリミットか

例のストールを巻いたまま
外へ出て 帰りを待っている
どこに帰るかもわからない
あなたの棲む家
わたしのことも
きっとわからないだろう


薄暗い朝
デッキからわたしは
海へスリッパをけり飛ばした
ありったけの





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