張り紙/這 いずる
あ、と指をさされている
振り返ってもなんにも無くて
張り紙がちらと目を掠めたようだ
手は届かないから 張られたまま諦めた
どうやらこうやら
そんな目で見られているらしい
重なっていく紙に埋めた自分
変わらない外見に埋め込んだその意識だけ
違うのに、って呟いている
呟きが空気に霧散するのを
だんまりで悲しんでいたけれど
壁打ちのようなものでしょうって
結局はって
一緒
そのままかなしいだけ
車の中で過ぎる街の看板を指さし読み上げる事を
残酷だとは思わない
そういうこと
豪奢に飾られているみたいで
見てくれは目を惹くようだ
そして指をさされて、黒目が大きくなった目で
あ、と言われる
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