天体とこころ ?/白島真
 
 
昔、通(かよ)っていた中学校の屋上に
天体観測の丸いドームがあった


天体望遠鏡を覗き込むと
こころの暗がりがみえた


こころはどの星だろうと
それから何十年も探し続けているが
まだわたしの名前をつけた星はない


眼をレンズに近づけるとき感じる
あの一瞬の恐怖は何だろう
見てはいけないものを見るからだろうか


そうだとしたら
こころは
見てはいけないものかも知れない


生物の時間に
もちろん顕微鏡を見たこともある
毛だらけの脚に
さらに無数の毛が生えていた
ぐにゅぐにゅした
水飴のようなものが動いていたこともあ
[次のページ]
戻る   Point(21)