春は皮下に萌す/はて
遠いらしい
もう少し目覚めれば
雪の下の芽も捉えられるはずで
雪野に現れた黒い熊は光を
仰いでいる写真の中で生
きているやせ細りなが 凍
らも奴は確かな嗅覚 える
で春を食らうのだ 地表の
ろう溢れる泉を 雪は光を
見つけるのだ 弾きながら
ろう奴の足 厚みを削られ
元には既 消え失せようと
に繋が しているときには
れた 既に兆し一斉に燃ゆ
る
春
まぶたに差し掛かり、視神経の近くと脳の近
くを通りすぎたとき、血液は光というものを
知りました。それからどれだけの時間、どれ
だけの距離、どれだけの岐路を越えたのでし
ょう。ようやく動脈の最後の門に近付いてき
ました。とても暗く、ゆったりと進んでいき
ます。小さな入り口に正確なリズムで吸い込
まれていくのです。それから、また旅に出る
のです。
巡る血は春に触れられず
季節の外殻をなぞるのみ
知ることを知り
くまなく巡った血液でさえ
泉の源にたどり着けず
確かに在り
変化している
春は皮下に萌す
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