再生 /小林螢太
 
今はまだ、ぽっかりと空いたボトルが海を漂い
手垢のついたじかんが終わりを迎える

真新しい窓を覆うひかりは
星の空をはだかで漂う不確かさで
黒く塗りつぶした本にときを刻みはじめ
風吹が去ったよるに、きみは
ぼくの幻をみている

いくつもの陽炎をかんじて
風浪に曝されながらもやを通り抜けた
口を閉ざす海の向こうに夜中の虹が見える

冬に巣立つしんきろうの海猫
船底のかくせい
ベッドに置いてなくした似顔絵
砂時計を乾かし、ぼうしに十一月の風が抜けて
冬のインクを滲ませていく

ブルーベリーをかみ砕く
空間に浮遊する粒子からいのちがほとばしる

干からびた稲穂にかぜを通し歩いていく、あの丘の
ほそい糸を辿って
あおい鳥が前を羽ばたいていく
ミュトスの前の二つのひとみを探さないで

オレンジ色のひかりとリズム
小梢のさえずり

ぼくの無音をセロファンのランプとして表す
たとえ騒めくやみの中でも
きみを見つけよう
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