エピローグ/坂本瞳子
供されたお茶は
どうしたって危険で
口を付けるのが恐いのだけれど
いただかない訳にはいかなくて
ただ眺めているだけにはいかなくて
もうなんとも誤魔化しようがなくて
だからといって逃げ出すこともできなくて
なんとも居た堪れないでいるところ
四時を告げる鐘が鳴る
しばらくは余韻に浸っていられる
鐘の響きを愛惜しむような振りをして
たかが知れている束の間ではあるが
救済の刹那が訪れるのではないかと
この上ない希望を抱くことができるのも
決して大袈裟でも嘘でもない
さてどうしたものか
この先のことを考えてみるのも嫌だけれども
このまま放置してはもらえない
い
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