ひとつ 冷笛/木立 悟
 





深夜の白く澱んだ曇から
硝子の光が降りつづいている
枯葉と鉱のはざまの音が
甲と指を擦っては落ちる


あちこちに
赤く乾いた小さな実が散らばり
時おり虫のように震え
じっとしている


長い下り坂の終わり
双つの霧の祭
無数の鏡の径
姿だけが帰る径


腕の前に回る腕
Xに零 Yに無限
縦と横の笛の冷たさ
常に倒れ 受け入れる笑み


動かぬ機械が並ぶ部屋から
灯りが漏れている
金属の扉 夜の重さ
夜の遠さ


三叉路は浅く影を梳き
壁は蒼く漬されて
曇は再び霧の手を取り
宙の虹彩をうたい出す

























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