不行状/倉科 然
 
液晶越しに反政府ゲリラ部隊の姿を見る
倫理観の欠如か想像力の欠如か
この欺瞞に満ちた世界から一刻も早く抜け出したくて
私は窓を開けて
同時に機械の電源を切る
流れ込んでくる風には仄かな金木犀の香りが含まれていて
無臭の世界から私を断絶してくれる
不愉快な言葉の羅列殺人予告オートマティックな暴力の乱射
怯えているのだきっと彼らはただただ
また少し風が吹いて甘い香りが私の殺伐とした心を洗う
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