◎救済の作法/由木名緒美
 
「その炎は陰影でしかない」
そう言って私の指先を吹き消した
あなたこそが、明かりを灯したというのに
たおやかさは無機の温もりを織り上げて
巻糸は摩擦熱を怯えて逃げ惑う

潮流の回遊に永劫の瞑想を見出し
冷えた魂は彫像の輪郭で静止を現す
投げ掛けられた救いの示唆は
あまりに明朗な語彙をなぞり
示された地図に意思を預け
その誤差を測るには喪心におもね過ぎていた

抱き留めながら 慈しみながら
あなたの芯柱に潜む炎は
果て無く上昇し 霹靂(へきれき)の眼球に転化する
求めるものは 到達されない楔(くさび)そのもので
私はただあなたの求心力に逆らって
傷つき
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