焼き場にて/刑部憲暁
 
青空だった
そこに一塊りの黒い雲が
漂うのだった
漏れでた存在の気品
のように流れ去るそこ
その空間に
手元から立ち昇る灰の揺らぐような
誇り高き 気品
取り巻いていたわたしたちの
体内を駆け巡りながら流れ去るもの
漏れでた存在の気品
薄い唇を示す紅の所在
高い鼻をそそり立つ白粉の静けさ
透明になってゆく
薄れてゆく
色から遠いものとなる 気品
漏れでた存在の気品

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