好きな唄をいっぱい唄おう/水菜
ようです。
わたしは、明るい色の熱帯魚でも、大きな身体の白鯨でもありません。
酸素ボンベが無ければ息ができなくて死んでしまう手足のある人だから
きらっと光った銀細工の美しいナイフを、水の底に見つけても、そのナイフを手に取ることは容易にはかないません。
でも、考えてみてください。
もしわたしが、明るい色の熱帯魚や、大きな身体の白鯨なら、
きらっと光った銀細工の美しいナイフを美しいと思わないかもしれません。
ねぇ、わたしは、初めから、対等ではなかったの。
海の底に、銀細工の美しいナイフを落としてしまうようなわたしには、
もともと、銀細工の美しいナイフをきちんと扱うことなど出来
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