流世の語り/
半知半能
ったのだ
ああ霹靂たる夜が来る
たった一人の若者がこの荒野を彷徨うなら誰か
東へ
と一言伝えてやれ
地面を離れられない小鳥が余力無く泣くのなら誰か
恐怖をさえぎる草木を与えてやれ
慈しめ
一言目に多量の愛を
二言目に至量の温もりを
忘れてはならないのだ
莫大な時間の中で人類は自身の生きる時間をあまりにも無為に括りすぎる
呼吸をするひとときの大切さが明滅する
目を閉じよ
そして目を開けよ
今の全てを
見逃してはならないのだ
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