ブラック&ホワイト/ホロウ・シカエルボク
 


街の端っこの更地を囲うフェンスに絡みついたまま枯れた蔓の落書きのような交錯の隙間から血走った目が俺のことを見ていた、俺はその目に見覚えがあった、鏡で確かめるまでもなかった、斜視で歪んだ照準はそれでもこちらを真っ直ぐに見つめていた、何かしらの思いがそこにはあったけれどそれを正しく読み取ることは叶わなかった、忘れられたようなその区画には俺以外誰も生きたものはおらず、おまけに雨模様でそれはまるで現代的な幽界のような様相を呈していた、時刻は昼過ぎで空腹を感じていたが、欲望として処理するにはもう少し時間がかかりそうだった、俺は見つめ合っても仕方がないと思った、だが、この先にはもう潰れた造船所と小さな
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