嘴/石川和広
 
やりすぎたらくさってしまうみたいに乾くことで、握られるものがある

今あわない
会わないという全ては死なせないためだ

それを憎しみというのか
大阪から京都方面の電車を待つ
もう来る

人殺しの固まりは
三月はじめの風邪を吹き付けて止まる
人が狭い穴から蒸れて歩いてくる

押し込めてくもになって、おからだの不自由な人という椅子に座る
僕は育った町の画廊に絵を見に行くんだな

ねえ、昼下がり諸君は異臭に怯える僕のチックをどう思う?

小さきもの震え
車体傾く

チックにはヒヨコという意味があるそうだよ
ヒヨコは怪鳥の幼い姿で
引き連れるくちばしは固い血管のようにぶすぶすさしこむ

私は口の羽をひきつらすチック!
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